やさしさの半分をきみにあげた:有馬嵐先生『半分あげる』漫画レビュー
こんばんは。
私の心が尊みで限界突破ハレーションを迎えてしまったので、ここにその思いを綴ります。
彼らの幸せを願うだけのブログを書きたいと思い、ここに至った作品はこちら。
有馬嵐先生『半分あげる』
※お察しの通りBL漫画です。苦手な方は自衛してください。
こちら、帯のキャッチコピーには
きみの隣にいると、幸せが何かわかる気がした。
ー平凡な高校生活、クラスメイトの真実がもたらしたのは、別れと再会の長い逃避行ー
とあります。
っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ尊............
キャッチコピーだけで尊みが伝わりますよね。
ざっくりストーリーです。
貧乏ながらも仲良し大家族の長男である、高校3年生黒川くん。彼は、いつもにこにこしていて、にぎやかなグループにいる同じクラスの白木くんが苦手だった。
しかし、白木くんは母親に売春をさせられており、客の血が付いた服を着て逃げ惑う場面に遭遇した黒川くんは、共に逃避行をすることを提案する。
その逃避行から時は過ぎ、教師になった黒川くんが訪れたワインショップで働く白木くんに再開して......
というお話です。
高校生のころ、白木くんは男性相手に売春をさせる母親と一緒に住んでいます。しかし、それを誰にも感じさせないよう気丈な振る舞いで、故に黒川くんは白木くんの目が怖いと感じたようです。
ちなみに、白木くんはクラスのにぎやかグループに属しているので、彼の目を怖いと感じたのは黒川くんだけのようですね。ええ。
さて、これは個人的萌えポイントですが、黒川くんの白木くんへの思いやりが残酷すぎるほどやさしいんです。
幼少期、母の食べ残しをゴミ箱から拾って飢えをしのいでいた黒川くんは、ある時母親から1か月間毎日ご飯をもらえるようになります。
「お母さん ぼくのことちょっとだけ好きになったのかも」
毎日ご飯が出てくるとはいえ、1日1食、冷たくなったお弁当です。
それでもそんな風に思ってしまう幼い白木くんでした。
黒川くんは白木くんに、純粋に、真っすぐ触れ、ぶつかります。
ぶつかってしまったことに気づいた黒川くんは、白木くんのもとから離れようとしますが、それすらも黒川くんのやさしさなんです。
白木くんは、黒川くんのいろんなやさしさに触れ、
「知らんかったんよ 好きなものには近寄っていいんじゃって」
と言います。
タイトルである『半分あげる』の意味を考えながら、黒川くんのやさしさを辿ってください。
これはマイナーではなく、BL漫画が好きな方にとってはメジャーな癖だと思うのですが、自分の傷ついた心に気づかない受け×その傷には直接触れずに全身温かく包む攻めのカップリングって最高じゃないですか?
幸せになれー!!!!
ここでお察しの読者様、そうなんです。実は(無理やり)ウリ専をしていた白木くんですが、対黒川くんでは攻めなんですよねー。
これも黒川くんのやさしさなんです。
同じく有馬嵐先生の作品、『きみの春花』
こちらの作品でもそうなのですが、有馬先生の作品は、ウケ=痛みを伴うということをかなり重視されているように思います。
これがわたくしにとって非常に癖でして、ほんっっっっっとうに読んでほしい。
BL漫画を知らない人ももちろんですが、愛読者の方々にとってもいろんな意味で衝撃だと思います。
わたくしは『きみの春花』を読んで、自分のなかの受け攻めの概念が大きく変わりました。
ありがとうございます。世界はやさしくて広い。
いろんな意味でやさしさに包まれるBL漫画、有馬嵐先生の『半分あげる』
こたつのお供にいかがでしょうか。
有馬嵐先生Twitter
https://twitter.com/arimarashii